ロケット少女、君は16歳

守りたい――。16歳の少女は、なぜ自分を犠牲にしたのか。 ミッション――隕石爆破ロケットに《乗船》。 条件――君の願いを全世界が総力をあげて叶えよう。 17歳の少女がスカウトされ、決意に揺れ、発射されるまでの60日間。 最後の日々、彼女に《何が》あったのか。 小さな恋に命をかけるピュアな滅亡ストーリー。 ＊＊＊プロローグ＊＊＊ 下校時間―― いつものように浮いて いどころのない高校から帰ろうとしたら 正門の前に黒い車がとまっていた。 縦に長くて どうやらリムジンというもの。 そばに黒スーツ姿でサングラスの 男たちが立っていて、妙な迫力だ。 まわりの子らが、ひそひそと 「FBIとかCIA？」 「日本に？」 「なんか、こわい」 「カワイ ヒカリさんですね」 おだやかな声が、逆に、こわさ倍増。 膝を震わせながら ここは逃げる手だと思う。 「いえ、人ちがいかな……って」 クルマのドアがあけられ、ずるずる 引っぱっていかれる。 ぽんと放り込まれ、両側から男が乗って はさまれた。 バッジ付の身分証をひろげて 「世界安全連合、WSUの ジャン・ササキ・ベルモントです」 「世界安全連合とは、アメリカ、ロシア、 中国、フランス、ドイツ……」 と、ジャンは世界中の国をあげて 「日本も含め、世界的な危機に対応する いわば地球連合です」 わたし、何もしてない、 そんなだいそれた組織に つかまるような…… ロケット少女©A STUDIO