ハイディ・トリオン
ハイディ・トリオンはセントシェラカッド太陽の角軍団に服役している——セントシェラカッド帝国の古き伝統と栄誉をもつ軍隊だ。そこで、彼女は友達たちに「神鷲」と呼ばれている、 それはまず彼女の弓の技術が神がかっているからで、そして彼女はまた獣使いである——特に鷲を手懐けるのが得意だ。鷲であっても狼であっても、はたまた蛇であっても——これら常人には手懐けることのできない動物は、彼女の手にかかると愛玩動物のようにおとなしくなり、人々はそれを奇妙がる。 ハイディは以前暴風の剣騎士団に雇われ、獣を調教していた。グフェルド二世はハイディが「狼軍」を調教し、吟遊詩人の物語の中のファビラ狼騎士と狼とともに戦う戦争情景を再現することを希望していた。しかしこの計画は結局うやむやになり、その後の進展もなかった。ハイディは幸いこのことで懲罰を受けることもなく、皇帝の気性を知る人たちを驚かせるには十分だった。その後多くの人がこっそり一体何が起きたのか聞いてまわったが、この事に関わった人たちが何かを語ることはなかった。皇帝の手下がいたるところで聞きまわっていた何人かの貴族たちを処分すると、この事はそれで終わった。 ハイディは人の気持ちを理解する「ミカエル」という名の一匹の狩鷹を持っていた。それは常に彼女のそばにいる友達であり、また最も信頼する戦友でもあった。だがミカエルの助けがなかったとしても、ハイディ自身もまた優れた弓兵であった。彼女の弓の技術は世を驚かせるほどではないかもしれないが、百歩先から頭上のりんごを撃ち落とすくらいは容易いことだった。